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本(和書) > ながい旅 (1982年) のレビュー・価格情報

ながい旅 (1982年)

ながい旅 (1982年)


大岡 昇平
新潮社
価格:Amazon でご確認ください
平均評価:評価:4.5
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「ながい旅 (1982年)」購入者のレビュー・評価

  岡田資中将の生き様の凄さ(評価:評価:4
映画「明日への遺言」の原作。映画同様に内容のほとんどが裁判でのやりとりなので読みにくいが、判決が絞首刑と決まってからの岡田資中将にこそこの本の真骨頂がある。絞首台に向かうときは月夜だったが、後に従う田島師を振り返って「いい月ですなあ」といったという。人はいつか死ななければならないが、このような境地で死にたいものだ。
この評価・レビューへの支持:投票総数 1件中 1票の支持
 
  小さい頃世話になった名教師のアルバム写真を想いださせる岡田中将の写真(評価:評価:5
大岡昇平氏の戦争モノでは、多くの読者さんらは「野火」「俘虜記」「レイテ戦記」を思い浮かべられるんちゃいますやろか。わては、シニカルで、かつどこかフランス哲学か何かの描出的な心理描写の文章が大好きなんですけども、「俘虜記」の横に並んでおった本書も買うてきて、読みました。最初は、大岡氏の晩年の比較的小品、くらいにしか思っておらず、読み出させていただきました。

「野火」「俘虜記」も大岡氏の実体験に基づくノンフィクション的作品と、読者はどうしても思いますけども、ほしたら、本作は岡田司令官に基づくノンフィクション作品。大岡氏の岡田中将への強い共感が感じられて、実に懐が深い作品じゃ。例年終戦のころになるとテレビでみる太平洋戦争関連の番組は、ともすると重い感じがせんでもないですけども、本作は、そういう意味突き抜けた感じがする。死や戦争のおろかさを感じさせるというよりは、超越した、強靭な岡田資氏の精神がすがすがしく、かつ共感に満ちて強く感じさせられる作品なんですなあ。

巣鴨の、岡田氏の亡くなった跡を今度訪ねたいと思うと共に、大岡氏のあのクールな、特にかなり軍執行部への批判的な「野火」や「俘虜記」での文脈は、何ゆえやったのやろう、と思います。大岡氏も歳を重ねて、愛国的なものに共感を深めていかれはったのか?あくまで、岡田氏への個人的共感なのか?戦後の不安定な世相で、大岡氏も本心を書けへんかったのかも、ということをほのめかすくだりも本書に出てきとります。

本書冒頭にある、岡田司令官の家族写真と戦中、戦後の写真、この厳しい中にも優しさを感じさせる写真は、わての小さい頃の、小学校の校長の厳しさと優しさを想起。実に含蓄が深い、夏の宝物のような作品です
この評価・レビューへの支持:投票総数 8件中 7票の支持