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本(和書) > 錆びる心 (文春文庫) のレビュー・価格情報

錆びる心 (文春文庫)

錆びる心 (文春文庫)

文庫
桐野 夏生
文藝春秋
価格:¥ 470
平均評価:評価:4.0
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「錆びる心 (文春文庫)」購入者のレビュー・評価

  小市民的生活に寄り添う狂気(評価:評価:4
桐野作品の登場人物はどこかが“キレて”いる。
まともそうに見えても、どこかのネジが外れている。
世間的常識の外側に、人格のある一部分がはみ出している。

本作は短編であるせいか、そのキレかたがおとなしめというか小市民的である。
(短編だからってことはないかもしれないが)

だからその分
「あ、こんな人周りにいるなぁ」とか
「これって、俺のこと書かれてるみたいだな」
そんな気にさせられる。
太宰治『人間失格』を読んだ時の感覚に似ていると言えば伝わるだろうか。

何事もなく、小市民的生活を繰り返している我々も、
実は狂気と隣り合わせなんだよな。

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  短編であっても作者の観察力・表現力が光る作品(評価:評価:5
桐野夏生の短編集。表題「錆びる心」はその中の一つの作品につけられた題であるが、ここに集められたそれぞれの作品の根底に通じる、人間の心の闇に迫った作品である。
それぞれの作品において、登場人物が持つふとした瞬間にあらわれる心の裏側が描かれている。それらは忙しい日常において見すごされがちなものでありながらも、心の奥深くに存在するものであり、読むたびにドキっとさせられた。
それらは見方を変えればささいなものかもしれない。しかし、それを効果的にあぶりだされているのも、桐野の人間観察力であり表現力によるものだろう。
この評価・レビューへの支持:投票総数 2件中 1票の支持
 
  桐野作品(評価:評価:4
この著者の作品は、今回初めて読んだものなのだが、とりあえず短編集だし、入りやすいかな、と思って手にとった。個人的には、どの物語も面白かったが、異色だな、という感想。今まで色々な作家の本を読んでいるが、その中でも、かなりユニークなものだと感じた。次はどんなストーリーなのだろう・・・。そんな期待を込めながら、もう少し彼女の作品を読んでみたい。
この評価・レビューへの支持:投票総数 1件中 0票の支持
 
  人間の不可思議さを垣間見る短篇集(評価:評価:3
1994〜1997年に雑誌に発表された短編6作品が収めらた作品集。

人間は隙だらけの生き物だな、という感想をもった。隙があるゆえに・・・
 
  ・狂気じみた妄想につかまり
  ・煮え切らない男にないものねだりをさせ
  ・酒に人格を狂わされ
  ・奇妙なものに執着して命まで取られ
  ・見込んだ男にあっけなく裏切られ
  ・十年間あたためた復讐計画を実行し、痕跡ひとつ残さず消え去ったつもりが、相手に大きな傷を植え付けていたことに、余命わずかの男に指摘されて気づく・・・

思いがけないラストが印象に残る点も各編に共通している。

これら作品は約10年前に書かれたものだが、現在の著者ならばこういう展開にしただろうか、などと考えながら読んでも興味深い。
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  収録作品のテイストがバラバラ・・?(評価:評価:3
短編集なのですが、本一冊としてテイストがまとまっていないような気がします。収録作品の中で好みの分かれるものがあるのではないでしょうか。

私は表題の『錆びる心』と、『虫卵の配列』、『月下の楽園』の3作品が好きです。しかしながら、別のテイストで集められたなら『羊歯の庭』『ジェイソン』『ネオン』の作品も好ましく思えたかもしれません。例えば、道ならぬ性愛の短編集として編纂されていたら、『羊歯の庭』など光ると思う。桐野氏なら短編のネタもありそうですし、まとめ方に少々不満があります。適当に寄せ集めただけのような印象を受けてしまいます。

<錆びる心>
タイトルである『錆びる心』は、自分の浮気によって家庭崩壊した主婦・絹子が、10年間夫の監視に耐えて家出する物語です。しかし、私は絹子を好きになれません。「し残した恋愛」だと夢を見て、「さほど好きでもないのに誘われるままに関係した」不倫の代償として、夫に外出禁止を言い渡されるくらい受けるべきだと思います。10年我慢することで夫への償いは十分、復讐できると思うのは、都合のいい思い上がりだと感じます。

この短編が良いなあと思うのは、靖夫の存在に尽きます。最後の方で、ワガママな絹子の言行に重みを与える言葉が秀逸です。こういう存在を隠し持って話を展開されると、「やられたー。」と思ってしまいます。靖夫の存在を描くことで、人が生きるとき、どれだけ他者から認められたいか、存在を記憶して欲しいかを求めるものだということを、切に訴えかけてくる設定に感激します。私も、生きていた痕跡を残したいと思うので・・

<虫卵の配列>
今を充実させて生きるためにとった手段が、他人を傷つけるのは良くないのでしょうが・・私はこの生物教師に共感します。

<月下の楽園>
歪んだ嗜好と執着に惹き込まれます。これは、私自身が廃墟や廃屋がたまらなく好きだからという理由もあるかと思います。
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